漫画の描き方・初心者ガイド|最初の1本を完成させるための手順と、つまずきの外し方
最初の1本が完成しない原因は、画力ではなく「何ページの話を描くか」を決めていないことです。4ページか8ページから始める理由、アイデアからの5工程、絵が苦手でも成立させる3つの調整、初心者が止まりやすい場所と抜け方までをまとめました。
最初の1本が完成しない原因は、絵が下手なことではなく「何ページの話を描くか」を決めていないことです。ページ数が決まっていないと、入れたい場面はいくらでも増えていき、描いても描いても終わりが見えません。逆にページ数を先に決めると、必要な出来事の数も、かかる時間の見当も、かなり絞り込めます。
先に要点です。
- 最初の1本は4ページか8ページ:短いほど完成します。完成した4ページは、未完成の30ページより次につながります
- 工程は5つしかない:アイデア→プロット→ネーム→下書き・ペン入れ→仕上げ。地図を持っていると、今どこで止まっているかが分かります
- 絵が苦手でも成立します:コマ数・カメラの距離・背景の3つを調整すると、描く量そのものが大きく変わります
この記事は、漫画を描いたことがない方が最初の1本を完成させるまでの全体の地図です。工程ごとの細かいやり方には専用記事へのリンクを置いていますので、必要になったところだけ寄り道してください。
なお、手順を自分でたどるより先に、相談しながら進めたいという方もいると思います。会話しながら漫画制作を進められる機能もあるので、先に全体像だけ見ておきたい方はこちらをどうぞ。>copainterの漫画エージェントを見てみる<
※2026年10月時点の情報です。漫画の作り方は作家ごとに違い、ここで紹介するのは「迷ったときに決めやすくなる考え方」の一例です。
最初に決めるのは「何ページの話を描くか」
描きたい話より先に、ページ数を決めます。順番が逆に思えるかもしれませんが、ページ数は入れられる出来事の数を決める箱なので、箱の大きさが分からないまま中身を考えると、ほぼ必ず入りきりません。
最初の1本としておすすめしやすいのは4ページか8ページです。理由は単純で、短いほど完成するからです。漫画は最後まで描き切って初めて「自分はどこが苦手なのか」が分かる作業なので、1本目は内容の良さより、完走することのほうに価値があります。
また、漫画は左右2ページが並んだ見開きで読まれるため、ページ数は偶数で考えるのが基本です。目安は次のとおりです。
| ページ数 | 入る出来事の目安 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 4ページ | 出来事3〜5個。登場人物は主人公+1人 | 1本目。完成の感覚をつかむ。設定説明を入れる余裕はない |
| 8ページ | 出来事6〜10個。登場人物は主人公+2人 | 2本目以降。障害を1つ置いて、乗り越えるところまで描ける |
| 16ページ | 出来事12〜20個 | 一度失敗して立て直す展開が収まる最小ライン |
| 32ページ | 出来事25〜40個 | 読切としてよくある分量。1本目にはおすすめしません |
「4ページでは描きたいことが入らない」と感じたときは、実力不足ではなく話のほうが大きすぎるサインだと考えると判断が早くなります。箱と中身が合っていないだけなので、話を削るか、ページを増やすかのどちらかで解決します。
4ページに決めた場合の中身の割り振りは、4ページ読切の作り方で1ページずつ解説しています。
漫画ができるまでの5工程
漫画制作は、大きく5つの工程に分かれます。全部を同時に考えようとすると必ず止まるので、今はこの工程のことだけ考えると区切るのが、最初の1本では特に効きます。
| 工程 | やること | 終わりの合図 |
|---|---|---|
| 1. アイデア | 描きたい場面・気持ち・出来事を、思いつくまま書き出す | 「これを描きたい」と言える1点が決まった |
| 2. プロット | 話の設計図を作る。誰が何を欲しがり、何に阻まれ、どうなるかを文章で決める | 話の筋が4行程度で言える |
| 3. ネーム | 紙面の設計図を作る。どのページのどのコマで何を見せるかを、ラフな絵とセリフで描く | 最後のページまで一通り描けた |
| 4. 下書き・ペン入れ | ネームをもとに清書する。鉛筆などで下書きし、その上から清書の線を引く(ペン入れ) | 全ページの線が引き終わった |
| 5. 仕上げ | ベタ(黒く塗りつぶす処理)・トーン(灰色の調子を出す貼り素材)・セリフの文字入れ | 人に読んでもらえる状態になった |
このうち、初心者が時間を使うべきなのはプロットとネームです。理由は直しの安さで、プロットは文章を書き直すだけ、ネームもラフなので消して描き直せますが、ペン入れ以降の直しはそのまま描き直しになります。前の工程が曖昧なほど、後ろの手戻りが大きくなります。
工程ごとの詳しいやり方は、それぞれの記事にまとめています。話の筋の作り方は漫画のプロットの書き方、ネームの進め方は漫画のネームとは?作り方の手順、コマの割り方そのものは漫画のコマ割りの基本と型集をご覧ください。
なお、ペン入れのあたりで出てくるタチキリという言葉は、紙の端まで絵を伸ばしておく描き方のことです。印刷後に紙が裁断されても絵が端まで届くように、仕上がりの線より外側まで描いておきます。1本目では使わなくても漫画は成立するので、覚えるのは後回しで構いません。
最初の1本で描く話の決め方
1本目で多いつまずきが、話を壮大にしてしまうことです。世界を救う、何年にもわたる因縁、記憶を失った主人公——どれも面白くなりうる題材ですが、4ページに入るのは「1つの出来事」だけです。
次の順で絞っていくと、迷いにくくなります。
- 主人公が欲しいものを1つ決める:大きくなくて構いません。「席を取りたい」「話しかけたい」程度で成立します
- それを邪魔するものを1つだけ置く:2つ置くと、短いページ数ではどちらも薄くなります
- 手に入ったか、入らなかったかを決める:どちらでも構いません。はっきりさせることのほうが大事です
- 最後の1コマを先に決める:終わりが決まっていると、途中で迷っても戻る場所があります
できた話を確かめるときは、「読み終わったときに何が変わったか」を1文で言えるかを見てみてください。言えないときは、出来事が足りないのではなく、主人公が何を欲しがっているかが決まっていないことが多いです。
題材については、派手な設定より自分が実際に覚えのある感情から選ぶほうが、短いページ数では説得力が出やすくなります。読者に説明しなくても描ける分、限られたページを出来事そのものに使えるからです。
絵が苦手でも成立させる方法
「絵が描けないから漫画は無理」と止まってしまう方は多いのですが、漫画の読みやすさは絵のうまさだけで決まるわけではありません。画力を上げるのは時間がかかるので、先に描く量そのものを設計で減らすほうが、1本目では現実的です。
| 方法 | 具体的にやること | 注意点 |
|---|---|---|
| コマ数を減らす | 1ページ3〜4コマに抑える。1コマで見せる情報は1つと決める | コマが大きくなる分、背景の空白が目立ちやすくなる |
| カメラの距離を選ぶ | 苦手な部分が画面に大きく映らない距離にする。手や表情に自信がなければ引きの絵、全身のバランスに自信がなければバストアップ | 全ページ同じ距離だと単調になるので、見せ場だけ変える |
| 背景を減らす | 場所が変わった最初のコマだけ描き、以降は省略する | 省きすぎると、今どこにいるか読者が分からなくなる |
| 登場人物を減らす | 名前が必要な人物は主人公+1人までにする | 減らした分を、セリフの説明で埋めない |
| 白と黒の面で見せる | 夜・室内・逆光など、ベタで処理できる場面を選ぶ | 全ページ黒いと重くなるので、明るいページと差をつける |
このなかで効き目が大きいのは背景です。背景は1コマあたりの作業時間が人物より長くなりやすく、しかも初心者ほど「全部描かなければいけない」と思い込みやすい部分でもあります。素材や写真を使う方法も含めた選択肢は漫画の背景をラクにする方法にまとめています。
逆に、減らしてはいけないのはセリフの読みやすさと、コマを読む順序です。ここが崩れると、絵がうまくても読めない漫画になってしまいます。
初心者がつまずく3つの場所
完成しなかった1本目を振り返ると、止まる場所はだいたい決まっています。先に知っておくと、実際に止まったときに「これは想定内だ」と判断できます。
| つまずく場所 | 実際に起きていること | 抜け方 |
|---|---|---|
| ネームで止まる | コマを割りながら話も考えているので、結局どちらも決まらない | プロットに戻る。話の筋を文章で決めてから、コマに移る |
| 作画が終わらない | 1コマの完成度を上げ続けてしまい、残りのページに手が届かない | 全ページを下書きまで進めてからペン入れに入る。1コマずつ仕上げない |
| 完成しないまま放置 | 途中で自分の絵に飽きたり、ほかに描きたい話が出てきたりする | 締め切りを自分で決める。仕上げを省いてでも、最後のコマまで描く |
3つに共通しているのは、うまく描けないことではなく、1度に下す判断が増えすぎて進めなくなっていることです。工程を5つに分けるのは、判断の数を減らすためでもあります。
それでも1人だと止まりやすいという方は、相談できる相手を1つ用意しておくと抜けやすくなります。>copainterの漫画エージェントを見てみる<
つまずきを外す手段としてのAI
ここまでは、手で描くことを前提にした話でした。最後に、止まったときの選択肢としてAIにも触れておきます。AIは「漫画を全部作ってもらうもの」ではなく、止まっている1工程だけを外すための道具と考えると、使いどころがはっきりします。
工程ごとに向き不向きがあり、おおむね次のような分かれ方です。
- 案の数が欲しい工程には向いています:アイデア出し、プロットの候補、結末の別案など、量を出してから選びたいところ
- 手を動かす量が多い工程にも向いています:ラフから線画への変換、着彩、背景の用意
- ネームは人がやる前提で考えるほうが無難です:どのコマで何を見せるかは、作品の読み味そのものだからです
時間の感覚としては、4ページの短編をすべて手作業で進めると12時間以上かかる想定に対し、線画や着彩にAIを挟んだ事例では約5時間という結果が出ています。工程別の具体的な手順と事例はAI漫画の作り方に、どの工程にどのツールが向くかはAI漫画は何で作る?にまとめていますので、気になった工程だけ見てみてください。
注意点として、AIで作った画像の商用利用の可否や、投稿先での扱いはサービスごとに条件が違います。公開や販売を考えている場合は、使う前に各サービスの規約を確認してください。
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「何から始めればいいか分からない」という段階そのものを相談したい場合は、copainterの漫画エージェントという機能があります。「編集担当兼イラストレーターのようなAIエージェント」として、アイデア出し・プロット・シナリオから、キャラクターやコマの作画まで、会話しながら進められます。
- 工程ごとに任せる範囲を選べます:「すべてをAIに任せる必要はありません」という設計なので、「この展開は自分で考えたい」「ラフは自分で描きたい」といった分担を決められます
- 話が決まっていない段階から始められます:この記事の「4ページ」という枠と、描きたい1つの出来事を伝えるところから相談できます
- 工程ごとにツールを乗り換えずに済みます:作画まで同じ場所で進むので、話や設定を一から説明し直す手間がありません
- アップロードした画像や生成結果がAI学習に使用されません:未発表の作品でも扱いやすくなっています
まとめ
最初の1本で大事なのは、うまく描くことではなく最後のコマまでたどり着くことです。ページ数を4ページか8ページに決め、描く話を1つの出来事に絞り、工程を5つに分けて1つずつ判断する。この3つだけでも、完成する確率はかなり変わります。
絵に自信がない部分は、画力を上げるより先にコマ数・カメラの距離・背景で調整してみてください。それでも止まる工程が出てきたら、そこだけAIに外してもらうという選択肢もあります。まずは4ページ、最後の1コマから決めてみてください。